千葉県私立高校入試のしくみ

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千葉県の私立高校入試では、多くの学校では12月に中学校の進路の先生と高校側との間で「事前相談」が行われ、「推薦」の可否を決めてから、実際の出願となります。
相談には3年生の通知票の評定が使われるので、学校の成績をよくしておくことが大切です。

【2023年度の私立高校入試の日程】

前期 1月17日~
後期 1月22日~

【私立高校入試には3つの形態があります】

私立高校入試には大きく分けて①推薦型、②優遇型、➂一般入試型があります。

①推薦型・・・中学校発行の推薦書が必要で(自己推薦書でよいケースもあります)、合格したら必ず入学することが条件。入試で学力テストが実施されないものも多いです。=単願・専願

②優遇型・・・調査書の内申などで基準を満たしていることや、第一志望や公立一校との併願に限るなどを前提に、入試学力テストに加点するなどで優遇するもの。優遇されても合格点に届かなければ不合格だが、学校によって優遇の度合いはさまざまで、ほとんど不合格にならない学校も多い=併願

➂一般入試型・・・原則として入試の当日点だけで合否が決まる。中には内申や英検などで、出願資格を定めている場合もあります。他校併願自由=フリー

 難関校(例えば、渋谷教育学園幕張高など)は➂一般入試型のみか、➂を主体に定員少数の①推薦型を実施している学校がほとんどですが、上位校では➁優遇型を実施している学校も多く、中堅校や入りやすい高校では、一応入試要項では①②③の全タイプの入試を行っていることになっていても、➂は実質的に志願者がほとんどいない、といったケースもあります。
 また、コース制を実施している学校では、最上位コースは➂のみ、他のコースは①や➁といったケースや、②を前提に、高得点者に特待認定を行う学校(例えば、市原中央高校など)、優遇の条件がゆるいために、②でもほとんど不合格が発生しない学校などもあります。
 ①②では事前に「入試相談」をへることが前提となりますが、➂では必要ありません。

【入試相談とは】

 「入試相談」は、例年12月15日(首都圏統一日程)から数日間で行われるもので、公立中学校の先生が、その中学校から受験する予定の生徒のリストを私立高校に提示し、合格の可能性について相談するものです。生徒の評定(内申)や出席日数なども提出されます。
 ほんらい、入試相談では合格の確約や内定を出してはいけないルールになっていますが、実質的には内定が出ているケースも多いようです。中学校では、11月下旬から12月上旬にかけて、進路指導の「三者面談(生徒・保護者・担任の先生)」が行われ、その結果をもとに各高校に提出するリストをつくります。成績によっては入試相談で「難しい」の意思表示が私立高校側から出る(実質的には「お断り、他校にどうぞ」という意味)ケースもあり、その場合は担任の先生から連絡があって、再度志望校の練り直しを迫られます。
 入試相談で特に問題がなければ、中堅校では入試本番で不合格になるケースはほとんどありませんが、次のような場合には不合格になります。
・風邪などで入試を受けにいかなかった
・面接で応対や態度が悪かった
・学力検査が行われる場合で、0点や1けた得点の科目があるなど、極めて点数が悪かった
 中には入試相談で特に問題にならなかった受験生が、本番の面接で態度が悪く、不合格になるケースもあります。入試相談に通っているからといって、私立高校に必ず合格する、というものではないのです。
 なお、コースわけされている場合、いちばん入りやすいコースについては入試相談で実質的には内定がでているものの、特進などの上位コースは入試得点しだいというケースがあるほか、上位校では入試相談を行っていても、一定の得点をとらないと不合格、というケースもあり、入試相談は出願資格の確認になっています。

「入試相談」を上手に利用

 「入試相談」では、多くの学校で「出願基準」があります。出願基準は「欠席日数〇日以内」や「評定内申3科(英数国)合計〇点以上・全科目で2以下がないこと」など、欠席日数や内申などが決まっています。
 こうした基準を1でも下回ったらダメ、という学校と、交渉によって多少はオマケしてくれる学校があります。オマケしてくれる学校では、代わりに部活動や生徒会での活躍を評価されることが多くなっています。しかし、担任の先生は学校内のようすについての資料しか持っていません。学校外でのコンテスト入賞や、公開模試の好成績などはほんらいは高校側も評価したいものの、中学校の先生による「入試相談」では提出されずに評価できないケースも少なくありません。
 こうした場合には、受験生本人や保護者が事前に高校と相談して、正式な「入試相談」の前に高校側に伝えておくことです。高校の入試説明会や個別相談会で「出願基準」を確認し、基準を下回っているならば、ほかの資料を用意して個別にアピールします。
 アピールする場は、個別相談会などですが、ちょうどよい日程がなければ、学校に連絡して約束をとり、高校の入試担当者に面談してもらってください。志望の熱意を伝えることも忘れずに。
 こうして、高校側から色よい感触がもらえたら、中学の三者面談で難航した場合、高校の担当者から中学の担任の先生に電話を入れてもらうことでうまくいくことがあります。100%成功するわけではありませんんが、努力する価値が十分あります。

難関校・一部上位校では入試相談がない

 難関校や一部の上位校では「入試相談」を行いません。推薦入試を行わず、➂一般入試型のみの学校はまったく対応していませんし、①推薦型の入試でも、出願時に校長印のある推薦状をだすたけといったケースがあります。
 推薦入試でも不合格者が多い学校や、「適性検査」が実質的な学力検査になっている学校です。こうした学校はどのような形式の入試であっても、当日の成績しだい、点数勝負です。
 「入試相談」がないのに①推薦型や➁優遇型だと思いこんで、「自分は推薦型入試だから大丈夫だ」と勘違いして勉強の手をぬくと、思わぬ不合格に慌てることになります。

まとめ
①ほとんどの私立高校では入試相談がある
➁入試相談には基準がありクリアする必要がある
➂難関校は入試相談がなく一発勝負

私立高校入試の学力テスト

 私立高校の学力テストは、国数英の3教科が多数派ですが、理科・社会を含めた5教科も少しずつ増えています。1科目45~60分程度、各教科100点満点が標準的ですが、150点満点のような例もあります。問題は学校によってかなり異なりますが、一般には公立高校入試の「基礎の基礎」というわれるような問題がやや少ないこと、記述式の問題も比較的少ないことなどが特徴です。一般入試型では合格最低点は5~6割程度ですから、全問正解する必要はなく、得点できる問題をしっかり解くことがポイントです。
 一般入試型では、よほど面接の態度が悪いとか、調査書の内申に「1」がある、欠席が多い、などを除くとほぼテストの点数だけで合否がきまります。優遇型ではいろいろなパターンがあります。これらは「単願」「併願」「第一志望」などの名称でいわれますが、学校によって名称の使い方がまちまちで注意が必要です。

優遇型の各パターン

■第一志望タイプ
 推薦型と同様に、主に内申などによる出願基準があり、基準をクリアした生徒が受験するものです。
 「単願」「単願優遇」といった名称の学校もあります。推薦型よりもやや低い出願基準のケースが多く、推薦型では基準に足りない受験生に適用されます。入試では一般入試の受験生と同様に受験しますが、合格ラインは一般入試の受験生よりも低く、有利に合格できます。
 合格したら、必ずその高校に入学しなければなりません。

■併願タイプ
 公立高校一校との併願は認めるもので、公立高校に合格したら辞退してかまいませんが、不合格だったら、その高校に入学しなければなりません。
 推薦型や第一志望タイプと同様に出願基準があり、基準をクリアした生徒が受験します。入試では、一般入試型の受験生と同様に受験しますが、合格ラインは一般入試の受験生よりも下がり、有利に合格できます。中には私立併願も認めている高校もあります。

■ゲタをはかせるタイプ
 合格したら必ず入学することを条件に、入学の得点に一定の点数を上乗せるるもので、上乗せしても合格ラインに届かなければ不合格になり。

■優遇型の注意点
 一般入試といいながら、じつは優遇型の受験生が多い学校も多く、こうした学校では「入試相談」で、多くの「合格予約済みの受験生」をかかえているため、実質的な一般入試型の募集枠がひじょうに小さく、甘く見ると思わぬ不合格になってしまう場合があります。

■推薦型の適性検査
 推薦型の適性検査は学校によっていろいろあります。
・優遇型や一般入試型とほぼ同内容・レベルのもの
・比較的基本的な出題に限るもの、試験時間が短いこともあります
・一般入試型問題の中の、応用問題レベルのものだけを少数出題するもの
・思考力を問うような特殊な問題
・1番が国語、2番が数学、いった科目混合で理科・社会が含まれることも

まとめ
①学力テストは3教科が多い
➁適性検査を行う学校もある

2022年度の千葉県私立高校の入試結果

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